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もくじ
てのりしのびーずの休暇のはじまり 5p てのりしのびーずと四月の馬鹿 11p てのりしのびーずの梅雨入り宣言 16p てのりしのびーずの持ってけ!手乗り天狐仮面 23p てのりしのびーずと筆まめ筆頭 26p てのりしのびーずと禁断の術28p てのりしのびーずとバケルモノ 31p てのりしのびーずの面白武器ゲットだぜ 37p てのりしのびーずと焼ける餅 42p てのりしのびーずの豆の数46p てのりしのびーずの休暇のおわり 49p あとがき 55p てのりしのびーずの休暇のはじまり 『突然ですが、戦国の忍び達は手に乗る大きさに縮んでしまいました』 ちょっと待て。と思ってみても、すでに政宗の目の前には手に乗る大きさの忍びがいる。 忍びたちがいる。 金色の髪、夜に星散る忍び装束のくノ一が不機嫌そうに。 濃い紅の髪、目元を黒鉄の仮面に隠し、口元を結んだ伝説の忍びが沈黙のまま。 そして、赤みがかった橙色の頭を隠しもしない、一番見慣れた いずれも忍びのくせにまったく忍んでいない風貌、忍ぶ気すらなさそうな戦場での大活躍、忍びと認識されているかも怪しいほどに各国の主の信頼を得た、他所の国の忍びである。 他所の国の。 この奥州、独眼竜が治める国には黒脛巾なる忍び隊が組織されている。指揮をとるのは忍び頭ではなく参謀の片倉小十郎だ。 「そう、黒脛巾組だ。中々有能だよね。さすが竜の右目が組織しているだけのことはある。で、あんたの驚き顔から察するに いつもの声、いつもの調子でぺらぺらとしゃべる橙頭に、政宗は手を伸ばした。 「うぎゃっ」 「Ah,sorry」 額をつつけば思いのほかあっさりと、橙頭はべちんと転ぶ。どうやら幻術打ではないらしい。幻術ならば間抜けすぎだ。現れたときは戦場で見かけた大烏に三忍で乗っていたし、今も切り株を三忍で舞台にしている。森の小人か。つらつらと考えながら、独眼竜は弦月の前たてをめぐらせた。 「確かに、小十郎からは報告を受けてねえが……」 右目を城に置き去りに、遠駆けに来ていたところだ。 橙頭は打ちつけた頭を撫でながら座りなおす。 「そこでさ、俺たち三人、是非とも黒脛巾にも知恵をお借りしたいわけ」 「……」 「 背中に丸めて背負っていたらしい文を、金の髪のくノ一が差し出す。 「連名か」 もとより甲斐と相模、越後と相模にも同盟があった。甲斐と越後は川中島を挟んで楽しくパーリィしている仲で、いっそ同盟よりも強い絆を結んでいる。 しかし確かに書状には、相甲越同盟が結ばれたこと、その同盟に奥州を迎え、日ノ本の東を平穏なものとしたい旨、つきましては黒脛巾によろしくお頼みしたいといったことが書き添えられていた。 「北条の忍軍でも越後の忍びでも、うちの真田隊でもどうにもならないんだ。相甲越の力関係のためにもこの三国のひとつに三人で固まるのはよろしくない。それが武田の大将の正直なところでね」 パワーバランスの問題なのだとばかりに橙頭は言う。実際それは否めないところだろう。 しかし書状を読んだ印象ではおそらく各国の大将は、『うちの忍び預かってくださいよろしくお願いします』くらいの気持ちである。 『奮えよ佐助!』『天晴れじゃ佐助!』 『我が北条の栄光を守るは伝説の忍び!』 『わたくしのつるぎ……きょうもうつくしくまっていますね』 独眼竜は書状の影からちらりと切り株の小人に視線を流す。 この三国に同盟を結ばれては、敵に回すには大きすぎる。奥州は囲まれた状態だ。しかし戦力の要である忍びは奥州に置かれると言う 文句はない。 目の前のチマチマした忍びに、興味もある。 「ってなわけでー」 「世話になるぞ、独眼竜」 「……」 相模甲斐越後で順に預かるとか、やりようがありそうなものだが。 「あんたたちは、それでいいのか」 ぼそり、とつぶやくと、伝説の忍び風魔小太郎はこっくりとうなずき、軍神の懐刀であるかすがも不本意そうな顔で顎を引き。 そして、政宗の好敵手、宿命のライバルの影を務める男、猿飛佐助は、へらりと笑みを浮かべて見せた。 『てのりしのびあすかってます』2013/12/30発行 |