戦国・手乗り忍びーズ。
(お手紙だいすき編)








 政宗は月に一度、青葉城で面倒をみている他国の忍びたちのために、書状をしたためる。
 北条軍の伝説の忍び、風魔小太郎のために小田原へ。
 上杉軍が月下為君、かすがのために春日山へ。
 武田軍のTHE・オカン、猿飛佐助のために躑躅ヶ崎へ。
 なぜこの奥州が独眼竜の居城にこの三忍が居候しているのか――話せば長いことながら。



 彼らはどういうわけか手に乗る大きさに体が縮んでしまい、伊達軍の黒脛布の知恵を頼ってきているのである。



「句読点含めて五十文字かぁ、そろそろもうちょっと進展しててもいいのにね」
「そうだな、付け加えるなら独眼竜に懸想している貴様のわがままのせいだ」
「……(実に遺憾)」
「ちょ、それ言っちゃう?かすがだって満更じゃないくせに」
「な、何を…!私は別に…謙信様以外の武将など!」
「……(美味しい御飯)」
 ちんまりとした三忍はそれぞれ橙色と金色と紅色の頭を並べてワヤワヤとしゃべっている。
 何かワヤワヤ言ってんなあ、と思いながらそれを遠く眺めるのは、若き独眼竜の独つ目だ。
「Hey,お前ら忍び会議はその辺にして書状にsignしろ」
「あ、はーい」
「む」
「……」
 呼べばシュタッと飛んでくる。
 この忍びたちは実際、体の大きさなど苦にした様子も無い。



「これが上杉」
「…いつもすまないな」
 金の髪のくノ一は書状を改めると細い筆を担ぎ、政宗の花押の横に薔薇のような――あるいは丸めた紙のような――絵を描いた。

「これが武田」
「ありがとう竜の旦那」
 橙の髪の迷彩忍びは、刷毛のような毛束を硯の墨につけて、“さすけ”と署名した。

「これが北条」
「……」
 紅の髪に兜をかぶったまま、伝説の忍びは硯にポチャンとつかって、べたりと紙に張り付いた。



「…魚拓?」
「これで分かるのか」
「北条の爺さんからclaimが来たことはねえな」
「……」
 この忍びたちは実際、体の大きさなど苦にした様子も無い。
「お前ら、いつか体が戻って国に帰ったら手紙よこせよ」
 面白そうだから。
 金の髪のくノ一は憮然とする。照れ隠しだと政宗は知らない。
「風魔の等身大魚拓、欲しいのか」
「できれば。手形でもいいけどな」
「……」
 墨で真黒な頭が、こっくりと頷く。
「書くよ、書いてすぐ届ける」
 政宗が笑うと、橙頭は墨の散った頬を赤くした。



「Thanks,楽しみにしてるぜ?」















10/05/28 掲載
初出:09/12/23〜メルフォお礼頁