曇り空の夜だった。

 昨日の祭りが嘘のような、静かな静かな夜だった。

 部屋の中は暗闇だった。



「一晩遅い」


 と呟けば、影が冷たく答えていわく。



「俺はあんたの彦星じゃないからね?」















































































「一晩遅い」

 とびっきり目つきの悪い隻眼の織姫さまに睨まれた。

――いや、だって。

 昨日はあんた、日の高いうちから山に入って、
「Hey!お前らこんなちっぽけな笹で願い事が届くと思ってんのか?」
 とか言いながら伊達軍の兄ちゃん達と楽しそうに笹狩ってたし。

 それで帰ってきたと思ったら、
「短冊はひとり一枚だぜ」
 とか宣言して家臣集めて大真面目に墨摺ってたし。

 書き終ったら書き終ったで、
「Let's party!」
 とか叫んで庭いっぱいの割り竹に素麺流して老若男女集めて流し素麺ぱーりぃしてたし。
 邪魔できる雰囲気じゃなかったでしょわざとかと思ったよ。

――なのに何これ。俺が悪いのかこれ。

 それともあれか。『猿に怪我のないように』とか書いてあった短冊を真に受けてちょっと血の匂い落としてこうかなとか思ったのが悪いのか。
 どでかい笹の一番天辺についてた短冊。目に入るだろ普通。忍びだぜ?俺様。

――だいたい一つ言っときたいんだけどさ。



「俺はあんたの彦星じゃないからね」



 年に一度の逢瀬なんて冗談じゃない。

 睨んで罵って噛みついて。



「せめて月イチで抱きしめさせて」





















 一部本ネタはシャーマンキングで。好きでした。
09/08/25 改定・掲載
初出:09/07/08七夕top