はじめてのお花見。
――暦は春。
温かさと寒さが交互に訪れるような、季節の変わり目。
佐助の嫁が風邪をひいた。
という報せを、佐助は日の本も最北端の、散りぎわの桜の下で受け取った。
「なぁにボサっとしてるだっ、さっさと嫁んとこさけえれ!」
「いや、俺様まだ仕事中だし」
「け・え・れっつってんのがわかんねえか!!」
佐助の尻を叩いて追い立てようとするのはこの北端村落の名物、神に愛でられたというゆきんこ娘である。
小さな背丈と細い手足、うさぎを思わせる髪型、くりくりした目の可愛らしい――その少女が、ちょっと顔見知りなだけのよその国の忍びの、その嫁のためにぷんすか怒っている様子だ。はた目にはほのぼのとした情景であるらしい。村人達が目を細めて見守っている。
しかし佐助はこの状況に二、三の疑問を感じざるをえない。
まずこのゆきんこ娘、豊穣の神から賜ったとかいう怪力と大槌を手にしている。軽い気持ちで尻を叩かれたが最後、風邪っぴきの嫁に会う前に佐助が瀕死になるだろう。
そもそも佐助の嫁がこのゆきんこと親しくしているのはどういうわけか。と佐助は思っている。
佐助の嫁は、身分が高い。
武家の長子である。
武田軍の忍隊を任せられているとは言えしょせんは忍びの佐助と、夫婦であることからして、意味が分からないほどだ。
――と、言うか。
「病は気からだ、ちゃんと青いお侍の看病してやるだよ」
こんな小さな少女にまで、猿飛佐助の嫁が“青いお侍”こと奥州筆頭伊達政宗だと知れ渡っているうえに浸透しきって受け入れられてしたり顔で説教されているのはいったい。
――どういうワケだよ。
誰だ。言いふらしたのは。
ゆきんこはきょとんと目を丸くした。
「誰ってそりゃおめえ――」
今年は桜をどれだけ見ただろう。
城の庭で、山で、里で、日の下で薄紅色の、月の下で青白くかがやくのを。
(忙しくて、あちこち飛ばされたからなあ…)
南は薩摩から土佐、瀬戸海をはさんだ安芸、京の都、三河に相模に加賀に越後。
――奥州には、任務がなかった。
甲斐の武田軍は昨年の春から、奥州伊達軍と同盟を結んでいた。その関係はこの春もなお安定している――と、お館さまは判じたようだ。
この一年、伊達軍は平定した諸国を治める地盤を作るのに忙しく、武田軍はもう何年も続く川中島の合戦に飽きず臨んでいた。前年に尾張の魔王こと織田信長が、腹心の部下であったはずの明智光秀に謀反を起こされ、以来姿を見せずにいる――これも、天下の平穏の一因だろう。相討ちになったか否か、双方とも首級は上げられてはいない。諸国の武将は各々隣の国と睨み合い、それはどことなく、楽しげに牙を研いでいるように、佐助の目に映った。
――牙をとぎ、動き出すのは、この春か。
信玄の命令を深読みするなら、そういうことだろう。
薩摩には桜の巨木があった。
『おまはんが独眼竜の婿かね』
土佐の桜は、潮風に負けず波を彩った。
『はっはっ!あんたか!竜を嫁にしたとかいう変わりモンはよぉ!』
安芸の桜は白かった。
『甲斐の使いか奥州の使いか知らぬが、忍びをよこすなど…我を愚弄するか』
三河では温かな風に花びらが舞っていた。
『オメエ、独眼竜の婿か!まあゆっくりしていけ。あいつ、元気にしてるか?』
相模の堅固な小田原城には、桜が華をそえていた。
『……』
『なんじゃ、風魔の友だちかと思うたら奥州に縁組みしたとかいう例の…ん?誰に聞いたかと?むむ、このところ物忘れが…』
加賀の桜は桃色だった。
『まあ、よくぞおいでくださいました!伊達政宗公が婿殿とお噂の猿飛殿!』
『夫婦円満でなによりだ!な、まつ』
越後の桜は美しかった。
『お前…!どうやって祝言に持ち込んだんだ!私にもその技を教えろ!!』
『なかよきことはうつくしきかな』
一番見事だったのは、京の桜であろうか。
『よっ忍びの兄さん!いや〜あんたとゆっくり話したかったんだ。恋の匂いってのはいいねえ!独眼竜は元気かい?仲良くしてるんだろ?なかなか利とまつ姉ちゃんみたいに一緒にはいられないだろうけど、大事にしてやんなよっ。……え?うん、元親には知らせて、毛利の兄さんのとこにも寄ったか。あと島津のじいさんと、北条のじいさんと家康だろ?いやあこういうめでたい報せが日ノ本を明るくするんだな…って、おいおい!なに怒ってるんだよ!?』
――頼むから皆さん、牙を研ぐだけにしてほしい。
この一年近くで戦忍びとは別方向で名を上げてしまったらしい猿飛佐助は、風邪のように噂を振りまく風来坊を一発殴ってため息ついたものである。
(もし離縁とかなったら、困るじゃない)
佐助はともかく、独眼竜の名に傷がつくのではないだろうか。
――日ノ本全域に忍び風情を婿に迎えたことが知れ渡っている時点で、満身創痍な気もするのだが。
「そうか、桜は見たか」
「そりゃもう、見飽きるほど」
肩をすくめる佐助に、佐助の嫁は「羨ましいじゃねえか」とニヤリ。いつものように、不敵に笑った。
ただし、寝巻き姿で座しているのは寝床の上。
「この辺のはもう、散っちゃったみたいだね」
「ああ。昨日からの雨でもう、花びらも残っちゃいねえだろうな」
開け放った障子の向こう、奥州城の庭にはサラサラと雨が降っている。冬を呼び戻すような北国の雨だ。
「雨、寒くない?」
「いや。開けておいてくれ、…」
そう言いながら、コホッと咳をする。
「…雨は、好きなんだ」
「じゃあせめて横になりなよ。それでちゃんと打ちかけも肩までかけること」
「心配性だな」
「こじらせたくないでしょ?」
「小十郎みてえ…」
「竜の旦那、それ嬉しくない」
嬉しくないと言っているのに、独眼竜はクツクツと笑った。そういう顔をすると、幼いいたずらっ子のような佐助の嫁である。
「横になったら、いいもの見せてあげるよ?」
ついつい子をあやすような声になりながら、佐助は水の張られた桶を引き寄せる。
「いいもの…?」
「そ」
忍びの手甲をとって、泳いでいた手ぬぐいを絞った。
熱はほとんど下がったらしいがまだ少しトロンとした左目が、佐助の手の動きを追う。
見つめながら、手ぬぐいが耳の下に押し当てられるのも避けずに、ただ少しだけ目を細めて息をついた。
――されるがままというのも、何やら可愛らしいというか、無駄に艶めいているというか。
「横になったら、目隠しして」
なんとなく、その目を見ているのも心臓に悪い気がして、ひんやりした手ぬぐいを竜の目元に寄せる。
「……、」
佐助の嫁はゆるりと手を上げると、手ぬぐいをささえながら、ずりずりと床に横になった。
独つ眼を、手ぬぐいで隠す。
――素直すぎる。
この人奥州筆頭だよなあ、と佐助はつい、頬をかいてその姿を見守ってしまった。
少しやつれて見える顎の線に、茶色がかった黒髪が汗で張りついて、わずかに開いた唇も艶かしく――。
「…佐助」
「はいっ」
「…?もういいか?」
「いや、もうちょっと待ってほしいかな」
準備はだいたいできている。佐助は音もなくふすまを開け、床をわずかに揺らすことさえもなく、用意してきたものを並べた。
「――はい、いいよ。そのまま目を開けてみて?」
竜は仰向けのまま、手ぬぐいを額に押し上げる。
まぶしげに細められた目の、金色がかった眼を丸くする。
――金色に映るのは。
「…こいつは、どこの?」
「最北端の、そのまた北の果て」
まだつぼみも残る、薄紅の桜の枝。
大きな鉢みっつに活けて、枕元を囲むように置いたので、見上げる竜の視界に枝が広がっているはずだ。
――きれいに見えれば、いいのだが。
「北で噂のゆきんこに教えてもらってね、枝もらってきちゃった」
「Ah,いつきのやつか…」
竜のゆびがそっと、花に触れる。
ひらり、と一枚、花弁が落ちた。
「花見は、したんだろうと思ったんだけどね」
「した。伊達軍総出で、桜の名所でな」
「うわあ、賑やかそう」
「ああ、でも…」
お前とも、見たかったんだ。
ぽつり、と言うものだから、佐助は返す言葉を失った。
――酷く、申し訳ないような。そのくせ、嬉しいような。気恥ずかしいような。
「そうか、北の北まで行けば、まだ桜も咲いてるんだな」
わずかに微笑む顔を見れば、胸の奥がざわめくような、そんな気がした。
「…竜の旦那、なんていうか」
――あんまり、果敢ない様だから。
「元気ないね」
「Ha,病人だぜ?一応」
「うん、一応」
でも、そういうことじゃなくて。
花びらがもう一枚、はらりと竜の髪に散る。
北の北の、山奥の。
あれも奥州の領土のうちだ。ゆきんこのいつきが奥州筆頭と何度か会ったというのも、そのためだろう。
「なんか、奥州の外まで、俺様が独眼竜と祝言挙げたって広まっててさ」
しかも噂を広めた男の趣味で、恋愛婚ということになっているらしい――とは、口にしない。
「Really?」
「うん、で、もちろん奥州は最北端まで」
「Ah,奥州はしかたねえな」
「村の人に拝まれちゃった」
子宝の神様の使いだって。
「…Wow,」
「なんか、そういうことになってるみたい?」
いつきは、『この辺のもんみんな知ってるべ?』とちいさな頭をかしげた。
『青いお侍のやつ…あー、政宗さまか。嫁にややこができねえってんで、離縁したんだべ?んでもって、母君がご神託さもらって、婿を迎えるといいってんで、それで――』
それで、迎えたのだという。
あの日、嫁入り支度をした部屋に、最初に入ってきた“男”を。
――それが、竜の愛する民のための、おとぎ話であるという。
しかし、今や佐助は確信していた。
(この人の嫁にややこができなかったのって)
明らかに、竜の守役の間違った教育のせいである。
――けれど。
(でも、別に)
だからと言って、佐助がこの伊達家の当主に子作りの仕方を教えてやればいい――というのが、独眼竜の母君やかの守役片倉小舅、もとい小十郎の望みであるわけではない。そんなことはあるはずがない。俺様の命を賭けてもいい。自ら賭けなくても自動的にそういう話になるに決まっている。
「佐助、」
「はい」
「あんたは、…何も聞かないんだな」
「え?」
金の目がじっと、佐助を見つめていた。
「俺が“何も聞くな”と言ったからか?」
いったい何の話をしているのかと、考えて、考えて。
「…ああ」
――何も聞かずに、結婚してくれ、と。
最初に言われた言葉を思い出す。
「まあ、それだけでもないかな」
どうして婿なんかとる羽目になったんだ、とか。
俺なんかでいいのか、とか。
――そんなことを聞いて、もしも、本当は婿などとらずともよかったのだという話になったなら。
「どっちかっていうと…俺が卑怯者だってことだよ」
竜がきょとんと目を開く。
どこかかわいらしい、頼りなげな、独眼竜には似つかわしくなかったはずのその顔を。
――傍で見られなくなる。それが嫌でうやむやにしてきたのは、自分のほうだと。いつからか分かっていた。
「俺はお前が、思ってたよりGentleなんで、戸惑ったくらいなんだが」
ぽつり、と心の声をこぼすように、竜がつぶやく。
「………………じぇんとるって、何?」
「、聞くな」
「はあ」
また、風もないのに花びらが落ちる。
――大事に運んだつもりだが、そう長くはもってくれないかもしれない。
「…じゃあ、別のこと聞くけど」
「ああ」
「元気ないのは、――何かあったから?」
のぞきこむと、竜は一瞬、目をそらす。
「俺が花見に間に合わなかったから、では、ないと思うんだけど」
「そいつは仕方がねえだろ」
「うん、だから」
「それは――」
佐助の嫁は、きゅ、と、唇を噛む。
――忍びが竜に惚れて、婿になった。
それが、日ノ本に広まってしまった噂。
――御神託があって、竜は男を婿にとった。嫁は赤子を産めないからと離縁された。
それが、奥州の民に伝えられた話。
――竜の嫁の田村の姫は、田村の家に帰される前、城で毒を盛られていた。
これは、佐助が忍隊を使って調べ上げた事情。
――誰でもよくて、他国の忍びでもよくて、男を婿に迎えた。決定権を握っていたのは竜の母君だった。城のものは片倉小十郎を婿に推挙していた。
それが、佐助が見たままの事実。
(俺でも、片倉の旦那でもいいなら、逆に、)
(誰なら駄目だったんだろう?)
――竜の弟君が、この春、寺に入った。
そして、佐助の嫁が風邪をひいた。
――熱を出して、倒れた。
これが、最新の報せ。
独眼竜に弟がいるという事実は佐助も知っていた。里の噂では、竜の御母堂はこの弟の方をかわいがり、戦にも滅多に出さぬという。
(そういや、祝言の時もいなかったなあ)
噂は噂。報告は報告。推察は推察でしかない。
自分の目で見た事実すら、疑ってかかるのが当然だと佐助は知っている――つもりである。何事も早合点してはならないし、分かったつもりになってはならない。
――けれど、やはり火のないところに煙は立たず、積み上げていけば知るはずのない事実にも手が届くのだろうか。
城に来ればいつもいつも、奥州筆頭その人が、佐助のために手ずから料理を用意してくれた。
美味しいってこういうことなのか、と忍びはぼんやり思ったものである。
竜が毒を入れるなど疑ったことも――まったくないわけではないが、頭をよぎった疑念はほとんど瞬時に打ち消すことが出来た。料理が好きなのだと嫁が笑えば、罪悪感さえこみあげた。
毒など入っているはずがないと佐助は思っていた。
けれど、竜のほうが――もしも誰かが佐助に、と恐れなかったとは。断言はできない。
「言いたくないなら、今はいいさ」
竜のために用意された白湯を、椀にそそぐ。
「でも、あんたが誰かに話して楽になれることなら――その誰かがいつか、俺になればいいとは思うよ」
水面に映る橙赤毛は、まるで忍びではないような顔をしている。
「仮にも俺様、独眼竜の婿殿だし?」
へらりと笑うと、佐助の嫁も笑った。
薄紅色の桜の下で。
――今にも壊れそうな笑顔で。
「佐助。…手を貸してくれ」
「承知」
身を起こそうとする竜の、手をとって、椀を置き、肩に腕を貸す。
佐助とそう違わぬはずの男の体にも関わらず、竜の細身は別の生き物のように、いつだって整って見えた。
それが今は、じわりと熱い。
床に座るとそのまま、佐助のほうに倒れこんだ。
「竜の――、」
両腕が、佐助の忍び装束の背に回されて、ぎゅ、と緑の斑をつかむ。
「旦那、これ、結構汚れてるんだけど」
「Shut up」
「はい」
黙れ、という意を汲み取って、佐助の言葉と両腕ばかりが行き場をなくす。
胸の辺りに埋められた頭は、つむじしか見えない。
「二月に、」
「うん」
「Chocolateやったろ」
「あー、はい、あれね」
「あれ、日付間違えた」
「は?」
「如月の十四日じゃなくて、西洋の、二月十四日だったから、ひと月遅かった」
「ああ…」
酷く悔しげな声が、胸の辺りでくぐもる。
――茶色がかった黒髪を、なでてもいいだろうか。
――こんなに近くて、心臓の音が聞かれてやしないだろうか。
――なんかすげえバクバクいってるんだけど。
「そういや、じゅーんぶらいどだっけ?六月に結婚するってやつ。あれ、皐月だったもんね」
「ん…」
うなずいたらしい、すり、と額が忍び装束に摺れる。
――それとも、顔をあげさせて、口づけてもいいだろうか。
「まあでも、ほら、なんだっけ、あれって女が男になんかあげる日だったんでしょ?俺ら男同士だし」
「…そうだな」
「えーと……竜の旦那けっこうこだわるよな……あ、いっそひと月後は、男が女にお返しする日だった、ってことでどう?」
「What?」
「そしたら採算あうじゃん。俺様お花あげたし」
「…お前な」
「――やっぱだめ?」
佐助の嫁は佐助にしがみついたまま、今度は額を横に摺る。
――忍び装束の下の暗器が心配になってきた。
――お菓子の日だって桜だって、また来年があるのだからと、言ってあげたら顔を上げてくれるだろうか。
コホコホと、ちいさな咳。
「お前が、来る前に」
「え?」
「真田幸村が見舞いに来た」
「…へー」
「果し合いじゃなくて口利いたのも、久しぶりだった」
「だろうねえ」
「あの日――」
あの皐月の雨の日。
西洋の暦の、六月末日。
「信玄公が猿飛佐助を奥州に遣したのは、…俺の母から文があったからだと」
『お館さまはその文に感じ入って、すぐに佐助を』
問えば、そう教えてくれたのだと、竜は言う。
――真田幸村。
(そう言や俺、旦那には何も聞いてない)
お館さまが突然奥州に行けと命じることなど珍しくもなかったし、あの上司ふたりが破天荒なのもいつものことだったから。けれど。
――そもそも、前田慶次に、独眼竜との祝言のことを話した人間がいるとすれば。
「いや、でも、おかしくない?真田の旦那ならまだしも、なんで俺が?そもそもその文になんて書いてあったか知らないけど――」
ザア、と冷たい風がふきこんだ。
いつの間にか強くなった雨脚が、佐助の背にバラバラと跡をつける。
桜の薄紅が、いちどきに舞い落ちる。
(ああ、この人、まだ熱があるのに)
雨戸を閉めなければ。それから、ちゃんと床に入ってもらって――。
「旦那、」
「偶然なら、従ってやろうかと思った」
「あんた、熱が…」
「だがどうやら、違ったらしい」
「……」
「俺のせいで――」
「それは言わない約束でしょ?」
熱いものが、そっと、佐助の胸から離れる。
金色の目が酷く静かに、忍びを見上げた。
「猿飛佐助。もしもあんたが望むなら――なかったことにする。甲斐との同盟は揺るがない。ただ、あの日のことを」
望むなら。
――竜が、飽きたら、この婚姻が国にとって意味を成さないなら、いつでも身を引こうと。
そう思っていたのは佐助のほうなのに、竜は“佐助が望むなら”と、そう言った。
「そう」
忍具をはずしたままの手で、その頬に触れた。
気づいていないのか、竜の手はまだ、佐助の装束を握り締めている。
固く握りしめている。
「じゃあ、――何もなかったことには、できないけど」
何も聞かずに、手を滑らせて、その身を引き寄せて。
「離縁してよ、独眼竜」
強く抱きしめたから、竜の顔は、見えなかった。
11/05/27
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