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それがしだけが知っている佐助の秘密をお聞かせしよう。 猿飛佐助の母は狐、父方の祖父は大猿でござった。悪さをしてご神木に封印されていたところを通りかかったお館様がしめ縄の結び目をばっさりと切り落とし、以来えくすかりばーとして忠誠を誓ったのだ。趣味は釣りで主食は謎とかれーらいす。得意な楽器ははーもにか。好みの女子は破廉恥な内容につき自主規制でござる。 まず九割九分まででたらめだってことを俺様本人の口から言わせてもらうぜ、真田の旦那。 そうか?俺は言っているうちにだんだん全てが本当のような気がしてきたぞ。 どうしてそうなった! 四月馬鹿の日だからだ。 ああ。去年竜の旦那にからかわれたアレね。 実はさっきの法螺を政宗殿に吹き込む予定であった。 予定で終わってくれて良かったなー! それがしだけが知っている佐助の秘密をお聞かせしよう、と政宗殿に申し上げたらな。 『そりゃあ自慢か真田幸村この野郎』 と、大層お怒りになって。 …なって? 面白いから黙っておいたのだ。 うっわあ…。 可愛らしい焼きもちを焼く方だな。 ……。 ……。 「真田の旦那」 はらり、と桜の白い花びらが、薄紅の小豆饅頭に舞い降りた。 青い空。暖かな日差し。淡い萌黄の春化粧した上田の山。 「今の、喜ばせといて嘘だったら怒るぜ?」 真田は饅頭にかぶりつこうとした口をぽかんと開けたまま、顔を橙赤毛に向ける。 口元を木の葉まだらの忍び装束に隠して、目元を額当ての影に潜めて、主にも見せぬ猿飛佐助の忍びの素顔。 真田は目をそらして、饅頭を花びらごと頬張った。 「すまん、今のは嘘だ」 「この野郎!」 叫び声に、驚いた目白が逃げてしまった。 大事な一言は二口目の饅頭に道を譲る。 どんな戯言も許される、春の一日。
10/04/27 掲載
初出:memo(2010/04/01) |